Q&A

これまでにお寄せいただいたご質問に対してお答えします。

Q. 米軍基地を引き取るのではなく、米軍基地はどこにもいらないのでは?

A. 米軍基地はどこにもいらない。仰るとおりどこにもいらないとわたしも強くそう思います。しかし、本土の大多数の人が米軍基地を必要と認識しているいま、「米軍基地はどこにもいらない」と主張する私たち本土に生きるひとびとは、たった半径5メートル以内の人にさえもその説得が出来ていないという事実があります。その為、米軍基地を必要だという本土に米軍基地を引き取ることは当然のことと考えます。それを享受した先で、「これでも本当に米軍基地は必要なの?」と改めて問いたいです。

人に不幸を押し付けている以上は、一旦立ち止まって考えてほしいです。これはイデオロギーでもアイデンティティの問題でもありません。人の幸と不幸の問題です。

Q.リアルではない気がする。引き取りの具体的構想はあるの?

A. 昭和34年「NEO TOKYO PLAN」を参考にして、第7次勧告「東京湾2億坪の埋め立てについての勧告」の中で厳密に算出された建設費用や埋め立て規模などから練ってみると、現在の辺野古埋め立て完成予定区域だけではなく、キャンプシュワブや普天間飛行場あるいは嘉手納基地をそのまま移設することが実現可能であると考えています。

画像を重ねるとほぼ同じ大きさの東京湾

左側画像の赤い囲いは、現在土砂搬入が続いている辺野古の埋め立て「完成予定区域」を示しています。右側画像が昭和34年の産業計画会議(松永安左右衛門氏筆頭の政府諮問機関)が勧告した「NEO TOKYO PLAN」です。辺野古の完成予定区域は約152ヘクタールで、NEO TOKYO PLANは2億坪=約66116ヘクタール、またキャンプシュワブの総面積は約2063ヘクタールであり、嘉手納基地の総面積は約1986ヘクタールで、NEO TOKYO PLANに全てが移設されても10分の1にも及ばない面積となります。

東京湾2億坪埋め立て計画と呼ばれるこのNEO TOKYO PLAN構想は、当時の金額で3兆8000億円もの大事業で実現はされませんでしたが、一部の交通インフラ(湾岸線など)や東京湾アクアラインや他埋め立てを、このNEO TOKYO PLAN構想に基づき実現しています。資本構成を政府50%と民間50%の出資としているので、3兆8000億円の内の半分は税金ということになります。以下、1兆9000億円の税金が使われることを想定して算出してみました。

昭和34年の1兆9000億円を令和元年に換算。
1兆9000億円→(CIP)10兆9897億72,80万円 (GDP)8兆4353億6120万円

NEO TOKYO PLANの埋め立て予定面積約2億坪=66116ヘクタールの単価1ヘクタールを、10兆9897億72,80万円から算出すると、1ヘクタール約1億6622万2080円。

1ヘクタール約1億6622万2080円を以下に当てはめてみます。

辺野古の完成予定区域(約152ヘクタール)   252億6575万6160円
キャンプシュワブ総面積(約2063ヘクタール) 3429億1615万1040円

もちろんこの様な条件・埋め立て技術の変化・地盤の再調査などを含めない概算では、正確な建設費を算出することは不可能です。しかし、現在の辺野古の完成予定地の建設費用は9300億円以上(防衛省2019.12)かかる、あるいは2兆5500万円以上(沖縄県試算2021.3)かかるとも言われていることを考えれば、東京湾での米軍基地の引き取りは、リアルを持って話を進めることが可能であることがわかります。

NEO TOKYO PLANについて詳しく知りたい方は以下をご参照ください。
第7次勧告「東京湾2億坪の埋め立てについての勧告」
「ネオ東京」計画は実在した? (東京ふしぎ探検隊⑪)(日本経済新聞2021年12月12日)


Q.「沖縄に在日米軍全体の施設面積の約74%が集中している」というのは米軍専用施設を母数にした割合であって、その分母に自衛隊との共有米軍施設を入れると在沖米軍施設は約23%」(佐藤正久参院議員など)だという声も聞きますが?

A. 日本に置かれている米軍基地がアメリカの世界戦略のために置かれており、日本政府にも思惑があってその設置根拠となる日米安保条約を締結している以上、母数が米軍専用か日米共同利用かを問うこと自体が無意味です。何より仮に2割だったとしても、日本国民全体が日米安保条約の受益者となっているにも関わらず、全国49都道府県の内、陸地面積が一番少ない沖縄県にそれだけの負担がかかる事は異常と言わざるを得ません。

いずれにせよ、2割であれ7割であれアメリカの世界戦略に大きく関与する「沖縄」という強い外交カードを持ちながら唯々諾々とする姿勢はおよそ主権国家の態度とは言えません。 Cf:https://ryukyushimpo.jp/news/entry-283907.html(<沖縄基地の虚実8>県外主要基地含め74% 誤った情報 ネットで拡散 2016年5月22日 19:12 琉球新報)

※2016年12月に北部訓練場の一部が返還されていますので、現在沖縄県内にある米軍基地の正確な割合は70.30%です。

都道府県別の米軍基地負担(22/3/20現在)

Q. 国境の島である沖縄に米軍基地が集中するのは仕方のないことでは?

A. 国境の防備のために米軍基地が必要なら、同じ沖縄県内でも先島に集中していなければ筋が通りません。同様に北海道と日本海側の県で均等に負担がなされていない事、沖縄に次いで面積ベースで米軍基地を多く負担しているのが青森県である事から、アメリカの正直な態度は「日本防衛の最前線には立たない」であると理解するのが妥当であり、国境だから集中するのは当たり前というのは現状に即していません。

Q. 沖縄は補助金をもらっているのだから基地を受け入れるべきでは?

A. その理屈では迷惑施設を受け入れていない他の自治体は補助金を一切もらうべきでないという結論になりかねません。「福島県民は原発を拒否するなら補助金を受け取るな」「財政破綻した夕張市は国から援助を受けるなら米軍基地を受け入れるべき」という話は聞いたことがありません。また辺野古問題とリンクしている「北部振興」も、元はダム建設の見返りとして期待されていたものが、職業訓練短大は労働省(当時)により、植樹祭の開催地は環境団体により南部へ移っていくうちに(『西銘順二日記』参照)、いつの間にか基地問題とリンクされていた事も注視すべきです。

Q. 名護市をはじめ県内の市長選挙では次々と基地反対の候補が落選しています。県民は基地の県外移設を望んでいないのでは?

A. 逆に「基地移設の容認」を公約として当選した市長は一人もいません。特に名護市市長選については、沖縄国際大学准教授の野添文彬氏も基地移設反対派が当選する事はレア・ケースとしつつも基地移設賛成を前面に押し出して勝利した候補者はいない点を指摘しています。
https://okiron.net/archives/459

22年度の名護市長選も徹底的に移設の是々非々を争点としてない選挙戦略をとっており実際、16、17日の両日に琉球新報社と沖縄タイムス社、共同通信社の3社合同で実施した電話世論調査では、米軍普天間飛行場の辺野古移設について「反対」「どちらかといえば反対」の合計が62.1%に上っています。
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1459113.html

何より政府の支援を受けた渡具知武豊市長本人が、移設について「市民に反対が多いのは変わらない」とのその事を認めています。
https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-1459306.html


以下、随時更新していきます。